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ジェームズ・キャメロンの実に12年ぶりの監督作『アバター』は、最先端の3D(立体)映像技術による圧倒的な視覚体験を堪能できる超大作として、昨年末の公開後、世界的な大ヒットを続けている。その勢いは凄まじく、つい先日は、自らの前作『タイタニック』(1997)が保持していた映画史上最高の興行収入記録を…
(Interviewed by Satoshi KUZU, Akira KUDO, Tetsuya MIURA) [japanese] Dust, this tiny object --At first, we would like to ask you a basic question. It …
[英語] Introduction 今年の山形のコンペティションにおいてもっとも奇妙で魅力的な題材を扱ったフィルムは、ハルトムート・ビトムスキーの『塵』だろう。そう、あのチリやホコリの塵である。ビトムスキー監督はドキュメンタリー・フィルムの巨匠として知られ、ストローブ=ユイレやヴィム・ヴェンダー…
Photo by Kat Baulu © 2008 National Film Board of Canada Introduction 著作権に縛られた映像を解放せよ。『RiP! リミックス宣言』はその明快なメッセージを、既存の映像をめまぐるしく 「リミックス」する手法で身をもって示す映像作品…
2010年1月23日~29日、横浜黄金町「シネマ・ジャック&ベティ」にて、期待の若手監督の作品を集めた特集上映「未来の巨匠たち」を開催します。 特集する監督は、瀬田なつき、加藤直輝、小出豊、佐藤央、三宅唱、濱口竜介のほか、女性たちの上映団体〈桃まつり〉から片桐絵梨子と矢部真弓。そして関西からは、つ…
香港国際映画祭会期中の見本市FILMARTで見たオムニバス作品『台北24時』が、東京国際映画祭でお披露目となった。上映にあわせて、8つのエピソードの中で秀逸の仕上がりだった短編 “Remembrance”の監督リー・カンションが来日。ツァイ・ミンリャン監督が俳優として登場する点でも見逃せない本作…
審査員。左から ジャン=フランソワ・ロジェ(シネマテーク・フランセーズ・プログラム・ディレクター)、ジョヴァンナ・フルヴィ(トロント国際映画祭アジア映画プログラマー)、崔 洋一(映画監督/第10回東京フィルメックス審査委員長)、チェン・シャンチー(俳優)、ロウ・イエ(映画監督) なかなか平日フィ…
【セッション1】装置間の争い ── 映像メディアの混淆とその体験 基調講演に続く「セッション1」では、堀潤之の司会のもと、コメンテーターの武田潔とトロン・ルンデモによって、ベルールが提起した問題への応答と展開がなされた。 武田潔は、かつてクリスチャン・メッツのもとで学び、フランスを中心とした映…
ヨコハマ国際映像祭2009 CREAMフォーラム 基調講演 「35年後──「見出せないテクスト」再考」 「今、わたしたちは映像の海を前にして毎日生活をしています」と、この映像祭のパンフレットには書かれている。従来型の「映画祭」ではなく「映像祭」を開催することの意義がここに集約されている。事実、…
万田邦敏著『再履修 とっても恥ずかしゼミナール』(港の人刊) 万田邦敏の批評集は「恥ずかしさ」を主題に書かれた点で、本当に希有で啓発的な書物だと思う。万田のいう「恥ずかしさ」とは、1970年代に「新人類」と呼ばれた同世代のパロディ感覚やシラケの感覚とは、無関係ではないけれども、しかし似て非なるも…
今年のロッテルダム国際映画祭タイガー・アワード(新人監督に与えられるグランプリ)に輝いた3作品のうちの1本『息もできない』(英題『Breathless』。来春シネマライズにてロードショー公開予定)を見る。監督ヤン・イクチュンは、短編『Always Behind You』(2005)で監督デビュー…
今年で10回目を迎えた東京フィルメックスのオープニングを飾ったのは、今年のカンヌ国際映画祭コンペティションをはじめ、各国のフェスティバルで上映されたツァイ・ミンリャン監督の10作目、『Visage』(英題『Face』)。以前本サイトでも触れたが、オルセー美術館×ホウ・シャオシェン(『ホウ・シャオ…
作品はいつの間にか始まっている。この作品の制作会社などのロゴが表示され、しばしの黒画面が映し出されている時点で、ラジオのチャンネルが何度か切り替えられる音が聞こえてくる。この音は、すでに映画の中の音であり、それを観客は映画の中へと入り込むちょっと前から聞かされることになる。 黒画面からイギリス…
国際会議『SOUND CONTINUUM』 21世紀の録音文化を問う国際会議 「録音」という領域が、従来の音楽史や映画史の中で、明確に意識化され語られる機会はこれまでありませんでした。それは、録音が音楽や映画に従属する技術としてのみ捉えられてきたからにほかならないのではないでしょうか?メディア技術…
来年度の国際映画祭サーキットで再び話題をよびそうな石井裕也監督の新作『君と歩こう』(『川の底からこんにちは』[2009]とともに2010年劇場公開予定)。本サイトでもすでに取り上げた独自の石井ワールドが、いかなる変貌をとげているのか、海外からのゲストも興味津々。『君と歩こう』は、片田舎の女性英語…
今年1月〜2月初頭に開催されたロッテルダム国際映画祭では、トルコ映画特集が組まれていた。偶然だが、世界各国の監督の長編第1、2作を集めたコンペティション部門でタイガーアワードを受賞した3本のうちの1本が、トルコ出身のマフムト・ファズル・ジョシュクンの『二つのロザリオ』(2009)だった。“Wro…
「写真/瀧本幹也」 是枝裕和の長編劇映画第7作『空気人形』は、突然人間と同じ「心」を持ってしまったラブドール(=「空気人形」)のはかない恋模様をめぐる寓意的な「ファンタジック・ラブストーリー」として、現在話題を集めている。 レヴューの読者はいささか面食らうかもしれないが、最初にこの映画に関する…
“Action ! For Earth”とエコ・環境問題に対するメッセージをより強く打ち出した第22回東京国際映画祭が10月17日より開幕した。今年は『アモーレス・ペレス』(2000)、『バベル』(2006)で知られるメキシコ出身の映画監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥを審査委員長に、1…
オルタナティブ・シネマ 時代の未明から来るべき映画たち 『ラザロ-LAZARUS-』(井土紀州)、『国道20号線』(富田克也)、『へばの』(木村文洋)といった、製作から配給宣伝までを、すべて自らの手で行うインディペンデント映画が増えつつある。これはインディペンデント映画の新たな可能性の兆候な…
『シネマ坊主』シリーズとして単行本化された松本人志の映画コラムは、既存の映画がいかに無意味な約束事にしばられているかをその都度、指摘していくことによって延々と書き継がれていた。不自然なハッピーエンドやお約束のセリフ、どうして映画だとこれらが許されるのか。そう語ってきた松本は、自分で撮る側にまわっ…
ポーランド第四の都市、ヴロツワフ。第二次世界大戦後まで続いたドイツによる占領をはじめ、さまざまな国の支配を受けてきた古都には、ポーランド市民の独立の象徴、コシュチェンコの戦いを描いたパノラマ(映画以前に誕生したご存じのパノラマ)が、現在でも名所のひとつとなっている。オドラ川がなす中洲とレンガ造り…
Chris Watson: Field Recording Workshop クリス・ワトソン:フィールド・レコーディング・ワークショップ 世界的知名度を誇るフィールド・レコーディングの第一人者、クリス・ワトソンが録音について公開ワークショップを実施します。BBCドキュメンタリーでの野生動物や自然…
第2部 2-1 プログラムピクチャーについて ──プログラムピクチャーが量産されていた時代には、2本立て興行の添え物の低予算映画の方に新人があてがわれるため、そこから意欲的な作品が登場するというような現象が多くあったようですね。内藤監督もそのような状況から出発されたわけですが、当時の低予算映画はど…
第1部 1-1 ヌーヴェルヴァーグの季節に撮影所へ入る ──東映の撮影所に入られたときの雰囲気っていうのはどういう感じがしましたか。 内藤:あれは、1959年。うん昭和34年の4月からだった。とにかく、京都はこわいっていうふうには思ってたね。まぁ時代劇はあんまり性に合わないと思ってた。どうせフィク…
INTRODUCTION 1973年に制作・公開されたカルトムービー『番格ロック』が、このところ頻繁に名画座やCSで頻繁に上映・放映されている。上映を行った名画座ではレイトショウの動員記録を作ったという噂を聞くし、また、この8月には内藤誠監督の論考を含む書籍『戦う女たち──日本映画の女性アクショ…
マノエル・デ・オリヴェイラは、その100歳を祝う昨年のカンヌ映画祭のイヴェントで、「作家の映画」を飛行機に喩えたフェリーニの言葉を引用しつつ、「映画祭とは空港であり、カンヌは最も美しい空港である」と述べた。 ケン・ローチ、マルコ・ベロッキオ、ミヒャエル・ハネケ、ラース・フォン・トリアー、ペドロ・ア…
『グラン・トリノ』については、すでに有り余るほど多くの言葉が費やされている。この映画の物語は、人生に踏み出すことと老いていくこととの物語、贖罪の物語、正義と暴力に関する物語、文化・民族・世代の衝突ならびに融和の物語としてもっぱら読まれているだろうけれど、その一方、「アメリカ」そのものの寓話として…
カンヌ国際映画祭が開幕した。今年は世界的な不景気のために、映画祭開催直前までホテルには空室があり、アメリカのメジャーの巨大な広告パネルも見かけないという。イギリス系出版社ファイドンに買収されたカイエ・デュ・シネマの批評家たちは、噂では自費で宿泊費をまかなわなければならないとか。 不況という言葉…
すでに小さな話題になっているようであるが、『月夜のバニー』の主人公の母親役に私もいたく感銘を受けた。皺の刻まれた夏木マリ系の相貌が未だにひとまわり年下の男と寝もする女性の深い業を感じさせ、また、相手への半ば軽蔑の色をたたえたその眼差しは長い年月をかけてあらゆる幻滅に馴れていった年増女の凄みを感じ…
まだ肌寒い夜道を歩いていると、不意に甘やかな香りに包まれる。闇の中で甘美な罠に落ちてしまったかのように。寒空を見上げると満開の白梅。デリケートで健気でありながら、凛と咲き誇る力強さに満ちている。若手女性監督の作品をより多くの人に届けるために立ち上がった、映画製作上映団体“桃まつり”。昨年話題を呼…
●コスタの言葉 私事で恐縮だが、ニューヨークから日本へ居を移し、もう1年が経った。当初は一時帰国のつもりで、ニューヨークで撮影する次回作の準備が整い次第とんぼ帰りする気概でいたのだが、東京の高密度なシネフィル・コミュニティにいったん触れてしまうと、その刺激に陶酔してしまい自作よりもよほどおもしろ…
I 歴史 個人的にお気に入りの女優のひとりであるケイト・ブランシェットを目当てに、デビッド・フィンチャー監督の新作『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を少々遅ればせながら観た。最初に映画のあらましをざっと確認しておこう。今年度のアカデミー賞にも13部門でノミネートされている話題作なので、ご存知の…
ミュンヘンの美術館「Haus der Kunst」、リバプールの「FACT」 (Centre for Film, Art and Creative Technology)とイギリスのアート系NPO「Animate Projects」がアピチャッポン・ウィーラセタクンに委託した、フィルムとインスタ…
東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻の修了作品として制作され、第9回東京フィルメックスのコンペ部門に選出された濱口竜介監督の『PASSION』は、巧緻に作曲されたフーガを思わせる。主題となる旋律のように、俳優たちの語る言葉が、トーンを変えながら響き、カットとカットのつながりが構造的に変化してゆく…
1. 開巻早々、どうやら実際の警察記録らしいモノクロ写真がスライドされる。便器に捨てられた注射針。連行される男。横たわる死体。そこに写った警察官の肩のワッペンから、原題("We own the night")の由来が判る。画面は暗転して、ブロンディーの"Heart of glass"がゆっくりと…
エリック・ロメールの最新作が、オノレ・デュルフェ作の仏古典文学『アストレ』の映画化であると知ったのは数年前、東京国際映画祭のマーケットで日本の配給会社を探していた製作スタッフと出会ったときのこと。当時、入手したシナリオは残念ながら英語版で、ロメールが偏愛する古典フランス語の美しさを読み解くには至…
この映画の冒頭を飾る一連のシークエンスは、まさしく「ロメールの署名」と呼ぶにふさわしいものだ。『我が至上の愛』の原作であるオノレ・デュルフェ(1568-1625)の長編小説『アストレ』は、現在ロワールと呼ばれる旧フォレ地方を舞台としている。しかし昨今の都市開発にともなう雑音の問題から、この地での…
エリック・ロメール監督最新作『我が至上の愛 アストレとセラドン』の公開を記念して、銀座テアトルシネマにてゲストを招いたトークショーを下記日時で開催予定。 1月18日(日)19:00 トークショー開始 / 19:15 上映開始(予定) ゲスト:辛酸なめ子氏(漫画家・コラムニスト)×しまおまほ氏(漫画…
「サブプライム」と並んで「facebook」(仏メディアに氾濫の一語)などが2008年を象徴する単語に挙げられていた年末の仏フィガロ紙の経済ページは、日本のお歳暮商戦の苦戦とともに、ディズニーが、実入りの少ない「ナルニア国物語」の三部作制作を断念したことを報じ、経済危機・不況を色濃く反映。ただし…
アメリカ人の一家が湖畔の別荘へと車を走らせている。彼らはそこで夏のヴァカンスを過ごすのだろう。一家は車内でクラシック音楽の曲当てクイズを楽しんでいる。作品はボートを牽引する4WD車を上空から捉えた俯瞰ショットと、ヘンデルのオペラによって幕を開ける。車が別荘に近づくとカメラは車内へと移るのだが、一…
『ロルナの祈り』に2008年のカンヌ国際映画祭が脚本賞を与えたのは、率直に言って悪くない判断なのではないか、と勝手に思っていた。賞が質を保証するというのはまやかしには違いないのだけれど、カンヌ4作連続主要賞受賞という「失敗のなさ」は、何かにつけ話の矛先が向かいがちな「社会派」的なモチーフやドキュ…
男がドアをノックする。女がドアを開ける。ウーはいるか? と男が尋ねると、女は知らないと答えてドアを閉める。するとまた別の男が現れ、ウーはいるか? と尋ねる──まずはここから撮ろう。その先は? と誰かが尋ねると、そんなことはわからない、まずはこれを撮ってからだ、と答える。 決まった脚本も無いまま…
『ばけもの模様』は、今年6月に劇場公開された石井裕也監督の第4作にして最新長編である。さらに製作じたいは昨年(2007年)のことであり、日本での一般公開に先駆けて海外の国際映画祭での上映歴もあるので、レヴューとしてはかなり時期はずれの作品になるだろう。とはいえ、現在の日本映画では最も若い世代に属…
ゾエ・カサヴェテス『ブロークン・イングリッシュ』(2007) 単なる同姓の偶然ではなく、あのカサヴェテスの娘の処女長編作。となるとやはりソフィア・コッポラの名も映画のPRで引き合いに出される。作品と直接関係ないが、ふたりはプライベートで非常に仲が良い(オムニバス作品『ニューヨーク・ストーリー』[…
04年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞と女優賞をW受賞した『ヴェラ・ドレイク』(2004)の監督マイク・リーの新作、WORLD CINEMA部門出品の『Happy-Go-Lucky』(2007)。一瞬「リー違い」(スパイク・リー)?!と思ってしまうほど、一変した作品世界に驚く。まさにタイトルを体現…
海外アニメーション・夏の陣では、パンダにカンフー、北京五輪、とあまりにも安易すぎる組み合わせではないか、と一瞬思わずにはいられないドリームワークスの新作『カンフー・パンダ』(2008)が、いい意味で予想を裏切る作品だった。主人公は、中国の山深くにある「平和の谷」でラーメン屋を営む父を手伝うパンダ…
映画は時間の芸術である、などと書くと、埃をかぶった映画の教科書を開いてしまったような気もあるが、WORLD CINEMA部門出品『シルビアのいる街で』(バルセロナ出身の監督ホセ・ルイス・ゲリン、2007)はまさに映画独自のアート性を軽やかかつ親密に証明してくれる。物語はひとりの青年(近寄りがたく…
17年ぶりに日本公開される、イエジー・スコリモフスキの新作、コンペティション部門『アンナと過ごした4日間』(4 Nights with Anna, 2008)。ティーチインでは、「可もなく不可もないような映画しか作ることができませんでした」という状態から映画に関しては活動を休止し、本格的に絵画に…
『一緒にいて』(Be With Me, 2005)をめぐって、仏映画評論ジャーナリズムでは、ちょっとした論争が起こったが、日本では一度も一般公開されていない、シンガポールを代表する監督エリック・クーの最新長編、「アジアの風」部門選出『私のマジック』(My Magic, 2008)。『一緒にいて』…
前回、「零度の画面」という語彙をとりあえず特徴付けてみるとして、 1 )曇天の荒廃した土地やスラムで撮影。 2 )少人数(もしくはたったひとりの)クルーで、被写体の生活環境を乱さないまま、記録するように撮影を試みる。 3 )物語の連続性が希薄で、画面の説明的要素、つまり物語が要請する期待への応答が…
